2016年8月3日に日本でもサービスが開始された、月額980円で対象の本が読み放題になるKindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)。
「月額980円でこんなにたくさんの作品が読み放題で出版業界どうなるの?」とも思ったんですが、僕にとってはまだ必要なサービスではなかったみたいです。
多分、お試し期間が終わったら(9月になったら)解約します。今回はその理由について。
あれ?Amazonプライムブックス?
月額980円でこれだけたくさんの作品が読めるというのは、正直すごいです。メジャー作品・マイナー作品問わず、本を大量に読む人にとっては最高のサービスだと思います。一方で…
- 本を月に1〜2冊程度しか読まない
- 年間で数冊しか読まない
- メジャーな漫画本しか読まない
という人にとってのキンドルアンリミテッドはどんなサービスでしょうか?きっと、「980円払って利用したいサービス」とは思わないはずです。
「何を当たり前のことを…」と思うかもしれませんが、個人的な見解として、こういう定額制サービスの真価は「マジョリティーに支持されるところ」にあると思っています。
- 普段あまり本を読まないけど、キンドルアンリミテッドに面白そうな作品がたくさんあるから登録する
- 月に2000円くらい払って読んでいた本が月額980円で読めるようになるから登録する
- 780円払ってキンドルアンリミテッド対象の本を買うなら、980円払ってその他の作品も少し読む
▲こういうことですね。しかし、現時点のキンドルアンリミテッドがこういうサービスかと言われると、多分違います。
きっと、無料期間後に980円払って継続利用する人は少ないと思いますよ。2ヶ月目〜3ヶ月目の会員数は解約し忘れの人も相当含まれているはずです。
うーん、そうですねぇ…今のところは、この名前の方がしっくりきます。
Amazon Prime Books(アマゾンプライムブックス)
メジャー作品・目玉作品が少なすぎる
キンドルアンリミテッドがマイノリティー向けのサービスになっている気がするのは、やはりメジャー作品・目玉作品が少なすぎるからです。
若者の活字離れが顕著になっている今、そういった大衆に受け入れられる作品というのは、言わずもがな「マンガ・コミック」です。無料コミックアプリの人気もそれを物語っていますよね。
Q.電子書籍も含め一カ月に何冊の本を読みますか?
- 1位 「0冊」……38.3%
- 2位 「1冊」……14.6%
- 3位 「2冊」……12.1%
- 4位 「3冊」……8.2%
- 5位 「5冊」……7.2%
Q.電子書籍も含め一年間に何冊の本を読みますか?
- 1位 「0冊」……32.3%
- 2位 「10冊」……10.4%
- 3位 「70冊以上」……7.4%
- 4位 「20冊」……4.9%
- 5位 「2冊」……4.4%
引用:「若者の活字離れ」って本当? 1年に「1冊も本を読まない」大学生は約◯割! 一方70冊以上読む人も……
しかし、現時点のキンドルアンリミテッドは、主に「有料化への導線」のようなサービスになっています。新刊(雑誌以外)に関しては、そもそも読むことができません。
- マンガ・コミックはマイナー作品ばかり
- 連続性のある一部の人気作品(主に過去の作品)も2話目以降は有料
「来月になれば続きが読める!」という連続性のある本が少ないのは致命的ですよね。人気のある小説やビジネス本も数が少ないし、充実しているのは、コンビニや書店で立ち読みできる雑誌ばかり。
その雑誌に関しても、月額400円で読み放題のdマガジンの方が充実しているし、キンドルアンリミテッドの魅力が「主に雑誌」であれば、dマガジンの方がコスパは良いです。あの週刊文春も読めますし。
主力コンテンツは過去作品・マイナー作品
僕が、キンドルアンリミテッドを「Amazonプライムブックス」と例えた(揶揄ではありません)のは、もう一つ理由があります。それは…
- 過去作品
- マイナー作品
が現時点の主力コンテンツになっているからです。まさに、プライムビデオ・プライムミュージックのそれと同じですね。
例えば、「Apple Music」や「Google Play Music」で、このような曲しか聴けないとすればどうでしょうか?
- 90年代の作品
- 10年前に流行った作品
- インディーズ作品
少なくとも僕は、毎月980円払ってまで利用しません。きっと、多くの人も利用しないでしょう。
しかし、実際の音楽配信サービスはどうかというと、毎月980円払ってサービスを利用するユーザーがたくさんいます。劇的に増えています。
CDを買ったり、iTunesで曲をダウンロードする人は劇的に少なくなっているのに、音楽産業は成長しています。(Spotifyの影響も大きいですが)
それは、月額980円で聴き放題のコンテンツが、マイノリティーではなく、「マジョリティーに支持され愛されている」ことに他なりません。
まとめ
僕がキンドルアンリミテッドを解約するのは、そして、無料期間後に継続利用する人が少なくなりそうなのは、まさにこういった理由からです。
そういう意味でいうと、「出版業界の定額制」はまだ黎明期かもしれませんが、できるだけ早く「Amazonプライムブックス」から脱却して欲しいところです。
まだ時間がかかるのであれば、いっその事、「Amazonプライム会員限定のサービス」として提供した方が、会員数増・売り上げ増につながる気がするんですけどね。
あくまでもキンドルアンリミテッドとして勝負するのであれば、「月額980円程度のキラーコンテンツ」は必要不可欠でしょう。
付加価値ではなく、おまけではなく、「多くの人が毎月980円払ってでも利用したいと思えるサービス」になる日まで様子見しようと思います。