「地方は横のつながりが強い」という話をよく耳にします。
人口が東京に比べて少なく、世話好きな高齢者が多く、長く定住する人が多いからではないでしょうか。
同じアパートなのに、隣の部屋なのに、すれ違っても話をしない…なんてのは東京ではよくある話ですけどね。
初めてのアパート生活の時、管理会社に「大家さんに挨拶に行きたいんですが」と言ったら、
「あ〜、別に挨拶なんていらないですよ。気にしないでください」と言われたのは今でも覚えてます。
事件はここから始まった
事件は朝の日課である散歩中に起きました。
「ニワトリって朝6時くらいに起きて鳴いてると思ってたけど、意外にお寝坊さんなんだね笑」
「そうだね、もう7時30分なのに笑」
「それにしても地方はのどかだよなぁ」
「うん、空気も澄んでるし、子育てにはいいかもね」
そんな会話をしている僕らを、遠くからずーーーっと見ているおばあさん。
「…」
「おばあさんがいるね」
「うん、挨拶しなきゃ」
「「おはようございます」」
「…」
「…え?何?あのおばあさん何だったの?笑」
と妻と話しながら通り過ぎた先に現れたのが、生まれてからずっと青森に住んでいる父親。
「よっ!」
この父親が今回の主役。
事件の全貌
「おー、今から散歩か」
「うん。もう柴犬の散歩は終わったの?」
「そう。今から帰るとこ」
「…」
「ねえ、さっきからあのおばあさんがずっと見てくるんだけど…」
「…」
「ああ、お前のこと知らないからだろうな」
「俺が話してくるよ」
「うん、まだこっちの人に慣れてないんでお願いします」
「…」
「おはようございます。あれね、俺の息子なんですよ」
「…」
「俺の息子」
「あぁ〜、あんたの息子か」
「そうそう。見たことないから気になってたでしょ」
「あんまり見たことねぇ顔だなぁって思ってたんだよ」
「そうでしょう、そうでしょう」
「ところで、あんた誰だ?」
「え?」
「あんた誰?」
「あんた誰?」
「あんた誰?」
(え〜〜〜!!!)
「…」
という事件が本当にあった青森のある日のこと。
「地方は横のつながりが強い」という話は嘘だったのか…
「…」