就職・転職をすると必ず過ごすことになる「新人としての時間」。楽しく充実していて、そして、最も辛い時間でもあります。
特に、新卒入社であれば、覚えることも、やらなければいけないことも盛りだくさん。この時間が苦痛で辞める人も少なくありません。
ただ、新人を受け入れて育成する会社もバカではないので、その時間を有意義に過ごしてもらおうと様々な工夫をしています。
早く一人前になってもらおうと、手間や時間を惜しまずに育成します。時には、「手取り足取り」育成する上司もいるでしょう。

アポ取れたの?よし!じゃあ同行してあげるね!

ありがとうございます!よろしくお願いします!
商談同行・営業同行と呼ばれる、「知識・経験が足りない新人」をサポートするために上司が同行するってやつです。営業会社では当たり前のようにやります。
でも、僕はこれもムダな文化だと考えています。いや、「もっと良い方法があると考えている」の方が正確な表現でしょうか。解説します。
上司が同行するメリットよりもデメリットの方が多い
まず、一番重要なのは、「なぜ上司が同行する必要があるのか」をしっかり考えることです。「新人だから同行してもらう」と安易に考えるのは避けるべきでしょう。
なぜなら、上司が同行するのはメリットばかりではないからです。個人的にはデメリットの方がたくさんあると考えています。
メリット | デメリット |
上司の商談・営業を間近で見られる | 「新人だから」となめられる |
足りない情報を補足してもらえる | 人海戦術で威圧してしまう |
責任感を感じづらい | |
不足の事態に対応できる力が身につかない |
どれも大きなデメリットですが、「あー、あんた新人なんだ」って思われちゃうのが一番うざいですよ。
サポート?介入?
実は僕、新人の時に上司の同行がなかったんです。タイミングが合わなかったのもあるんですが、先述の理由から遠回しに断ってました。
でも、ある時、〇〇業界の大手企業に訪問することになり、なんとか受注につなげたいと思った上司が同行することになったんです。
で、何人かで訪問したんですが、案の定、いつの間にか「上司が主役」になっていました。もうね、本当につまんなかったですよ。
結局、「サポート」じゃなくて「介入」になっちゃうんです。だから先方も、「新人っぽい僕」よりも「経験豊富そうな上司」を話し相手に選ぶわけです。
だから、一人で商談している時のような緊張感がなくなるし、「自分が受注したんだぞ!」という責任感が生まれにくい。
想定外のことを聞かれても「必死で考えなくて済む」ので、本当の意味での「対処する力」も身につきません。
同行の「副作用」
これはデメリットというよりも「副作用」という表現がぴったりなんですが…上司に同行してもらった新人のその後が大変なんです。
- 受注後の対応が後手後手になってしまう
- 長期的な取引につながらない
- よくわからず受注できたから何をすればいいのかわからない


受注できたポイントは何だと思う?



ほぼ先輩が話していたので、よくわかりません!
こういう新人が意外と多いんですが、これ、同行した意味あります?確実にその新人のためになりませんよね?
で、「せっかく同行してやったんだからさ…ちゃんと勉強しろよ!」とか言っちゃうんですよね。なぞなぞかよ。
本当に必要なのは「本番で困らないための準備」
だから、本当に必要なのは「本番で困らないための準備を手伝うこと」です。同行ではなく。
- 実際の営業や商談の現場を新人に見せたいのなら、「新人の」ではなく、「上司の」現場に同行させる
- 本番さながらのロールプレイングをしてあげる
- 「よく質問されること」や「資料」を事前に共有しておく
など、新人が実際の現場で困らないように尽くしてあげるんです。これは、軽々しく「同行するから安心して」と言うより、よっぽど効果的です。
そして、その後に「困ったこと」や「良かったこと」を新人から聞く。それに対してアドバイスをしてあげればOKです。
また、就活の時の「面接の練習」とは違い、ロールプレイングは重要です。その理由は、新人がもう「学生ではない」から。
就活の時の新人のライバルは、同年代でレベルがそこまで違わない人たちでしたが、ビジネスにおいての新人のライバルは、レベルが数段上のプレイヤーたち。
そして何より、本当の意味での「ビジネスの現場」は学生の時に経験できません。雛形だけ覚えれば良かった「面接の練習」とは勝手が違い、より実際的な知識や経験が必要になります。
まとめ
なんでもかんでも同行するのではなく、同行しなくても問題がないように教育するのがベストです。
同行は「上司が出なければいけなくなったクレーム対応」や「引き継ぎ」だけで十分。それまではどっしり構えていましょう。
「上司のおかげで手に入ったよくわからない成功」よりも、「多くの成功体験から自分でつかんだ成功」。それがきっと、新人のためになるはずです。