会社を立ち上げる時、新規事業を展開する時、マンパワーが足りなくなった時に行う人材募集。
昔は、
- 新聞折り込み
- 無料・有料の求人情報誌(雑誌)
- ハローワーク
などを利用するのが一般的でしたが、今は求人サイト(WEBサイト)を利用するのが一般的。
自社ホームページ、掲載料金無料のサイトを利用する会社もありますが、「大手人材関連会社が運営する掲載課金型の求人サイト」を利用する会社がほとんどです。
ただ、会社を立ち上げたり、裁量のある仕事をしていない限り、人を募集する機会はなかなかないので、どうやって利用すればいいのかわからないもの。
そこで今回は、自社の求人情報を求人サイトに掲載するまでの基本的な流れ・掲載終了後の流れをご紹介します。
準備
まず、求人サイトに掲載するための準備が必要です。
営業マンとの会話の大半がこの準備についてなので、多忙な社長・人事担当者は事前にどんなものが必要なのか把握することをおすすめします。
求人サイトに掲載する情報
- 給与体系
- 昇給システム
- 待遇
- マイナスポイント
- PRポイント
- 具体的な仕事内容
- 会社の雰囲気
など、掲載可能な情報は多ければ多いほど良いです。
よく、「そこら辺を考えるのが営業マンの仕事でしょ」なんて人事担当者がいますが、これは大きな勘違いです。
求人広告の営業マンは小説家ではなく、あくまでインタビュアーであり編集者なので、そもそもの情報は企業側が提供する必要があります。
もちろん、求人広告の営業マンが丁寧にヒアリングするので、紙に書いたり情報を1からまとめる必要はありませんよ。
重要なのは営業マンへの協力です。
この協力があるかどうかで採用成功率が大きく変わると言っても過言ではないので、せめて「どんな人を採用したいのか」だけはハッキリさせておくと良いでしょう。
予算の設定
掲載課金型、応募課金型、採用課金型など、求人サイトにもいくつかのタイプがありますが、いずれにしてもお金はかかります。
募集エリアや人数などで掲載料金は変わりますが、安くて数万円、高ければ数百万かかります。
重要なのは、買い手市場だった昔と違い、今は売り手市場だということ。
お金をかけずに何人も採用できる時代は終わりました。
募集エリア・求人原稿の質・掲載メディア・会社の知名度などによって大きく変わりますが、以下は採用単価の一例です。
- 飲食店のホールスタッフ2人採用→6万円
- スマホゲーム開発者1人採用→200万円
- 施工管理技術者1人採用→60万円
- 保育士1人の採用→10万円
- ケアマネージャー1人の採用→25万円
スマホゲームの開発者や、施工管理技術者など、「その人がいれば売上がもっと上がる」ような職種はどの会社も欲しがるので、必然的に採用単価は高くなります。
採用単価は本当にケースバイケースなので、求人広告の営業マン、近隣のお店、競合他社から情報を聞き出すのがおすすめです。
それがそのまま自分の会社に当てはまるわけではありませんが、参考にはなるでしょう。
許可証やパンフレットなどの会社情報がわかるもの
掲載する業種・職種・企業によっては、掲載にあたっての登録作業や、掲載しても問題ないかの確認作業があります。
その際必要になるのが、以下のような会社情報がわかるもの。
- 営業許可証
- 登記簿謄本
- ホームページのURL
- パンフレット
- 雇用契約書
- 優位性表示の根拠(業界No.1、日本初…などの根拠)
たくさんあって書ききれませんし、何が必要かは営業マンが教えてくれるので、そういった書類を提出する可能性があると把握していれば大丈夫です。
たまに、「なんでそんな書類が必要なんだ!」と言う人事担当者がいますが、こればかりはルールなので諦めてください。
また、求人サイトによって必要な書類や手続きが違うので、複数メディアに掲載したい場合、1つの代理店にすべて任せるするのもおすすめですよ。
掲載依頼
ある程度準備ができたら、メーカー、もしくは代理店に掲載依頼をします。
以下が主要なメーカーの掲載に関する問い合わせ先です。
代理店に依頼したい場合は「〇〇 掲載」などと検索して探すのが良いでしょう。
主要転職サイトの掲載問い合わせ先
主要アルバイト採用サイトの掲載問い合わせ先
打ち合わせ
掲載依頼をした後は営業マンとの打ち合わせです。
早ければ即日か翌日、通常は2〜3営業日後、遅くとも1週間以内には打ち合わせ可能です。
営業マンが基本的にやることは以下の通り。
- 掲載依頼があった求人サイトの紹介
- 採用課題のヒアリング
- 掲載方法の提案
ある程度慣れている営業マンであれば、
- 掲載原稿で使う写真の撮影
- 参考原稿の共有
も一緒にします。
申し込み用紙や各種書類も持参して、初めての打ち合わせでそのまま掲載準備をしてくれる営業マンが来てくれれば言うことなしですね。
注意点
よく、「カフェで打ち合わせしたい」とか「他で掲載しているから、内容そのままコピーして」みたいな方がいますが、これは絶対やめましょう。普通に困ります。
まず、カフェで打ち合わせは原則無理です。
なぜなら、募集する場所の確認を営業がしなければいけないからです。
例外があるとすれば、「すき家」「サイゼリヤ」など、ブランドとして認められているお店を展開しているような企業の求人でしょうか。
また、原稿に関しては気軽にコピペできませんし、冒頭で述べたように協力的じゃない企業の求人は本当に応募が少ないのでおすすめしません。
「何時間も打ち合わせしましょう」とは言いませんが、まとまった打ち合わせの時間くらいは確保した方が良いでしょう。
掲載前の確認
打ち合わせ後にやることは基本的に以下の2つ。
- 足りない書類・情報の共有
- 掲載原稿の確認
場合によっては、掲載前の課金もあります。
この中で大事なのは、もちろん「掲載原稿の確認」です。
間違いがないかどうかの確認はもちろんのこと、修正して欲しい部分があれば遠慮なく伝えましょう。
また、求人サイトによっては、初めての掲載、前回の掲載がかなり前の場合、応募先が有効かどうかの確認もあるので忘れずに対応しましょう。(ここら辺は営業マンが共有してくれます)
そして、確認後に営業マンにGOサインを出せば無事に掲載スタートです。
注意点
大手求人サイトの掲載ルールは想像以上に厳しく、掲載前に原稿を修正しなければいけないこともあります。
まぁ、本来は営業マンがしっかりするべきなんでしょうが、誰しもが「え?その表現もダメなの?」と思ってしまう理由での修正依頼もあるので、温かい目で見ると喜ばれると思います。
掲載スタート
掲載がスタートすると、
- 応募者対応
- 面接
に注力することになります…が、売り手市場の今、すべての企業がそういった対応に追われるわけではありません。
中には、応募が全然ない企業もあります。
その場合、やれることはいくつかありますが、原稿を修正できる求人サイト・メディアもあるので、まずはそれを試しましょう。(紙媒体は当然無理です)
営業マンから「修正しましょうか?」と提案されることも多いですが、取り急ぎ、営業マンに相談してみるのが良いでしょう。
ただ、応募がない・採用ターゲットと違う層からの応募が多い場合、何が原因かを考えなければ修正しても意味がないので、そこら辺も踏まえて営業マンの助けを借りましょう。
掲載終了後の流れ
通年で採用活動をしている企業は別として、掲載終了後の流れは主に2つです。
採用成功
無事に採用が成功したら、基本的には何もしなくても大丈夫ですが、掲載中のデータは欲しいところ。
- 掲載した求人サイトが良かった?(CMを放映していた、露出度が高かった…など)
- 原稿が良かった?(女性目線で作成されていた、ラフさが良かった、撮影された写真が良かった…など)
- 採用ターゲットに的確に訴求できていた?(アクセスは少なかったけど応募数は多かった…など)
など、今後の採用活動に役立つ情報が得られるかもしれません。
(ちなみに、このデータを抽出できない求人サイトもあります。紙媒体は当然無理です)
採用失敗
採用失敗だと、「高いお金をかけたのに…!もう連絡してくるな!」と、腹立たしくもなると思いますが、それではまた同じことを繰り返してしまうので、なぜ失敗したのかをしっかりと検証しましょう。
まずは、先述のようにデータを分析することが重要です。そもそも難易度の高い募集だったかもしれませんからね。
原因がわからなければ、心機一転、違う求人サイトを試したり、露出度を高めるために掲載プランをアップしたり、長期掲載するのも良いでしょう。
事業規模が大きくなれば、どうしても求人サイトへの依存度も高くなるので、PDCAサイクルはしっかりと回しておきたいところです。
まとめ
ここ数年で、日本でも、リファラルリクルーティング、SNS採用などが活発になり、「Google For Jobs」などの新しいサービスも期待されますが、求人サイトの影響力がまだまだ大きいのは言うまでもありません。
人手不足が原因で倒産する企業も珍しくないこの時代。
貴重な「人財」を見つけるために、求人サイトへ掲載してみてはいかがでしょうか?