仕事でもプライベートでも、誰もが経験するであろう「謝罪」。
自分のミスが原因で不利益が生じた時はもちろんのこと、自分に非がなくても謝らないといけません。いや、そう認識している人が多いはずです。
これはビジネスにおける概念のようなもので、社会人経験が浅い人なら特に、強く認識しているのではないでしょうか?
謝罪はなぜ必要なのか?
そもそも、なぜ人は自分に非がないのに謝罪をするのでしょうか?なぜ謝罪が必要なんでしょうか?
- 相手が謝罪を望んでいるから?
- それが当たり前だから?
- 相手が怒っているから?
おそらく、1番の理由は、力関係(上下関係・主従関係)を維持するためではないでしょうか?
自分は悪くないけど、関係を悪化させて自分に不利益が生じるのを避けるために、仕方なく謝罪をする…と。
プライベートにおける力関係の一例
- 先輩と後輩
- 強気な妻と弱気な夫
仕事における力関係の一例
- 上司と部下
- 発注者と受注者
謝罪は時に「二次災害」を生む
しかし、先述のような「とりあえず謝って許してもらおう」という考え方は非常にリスキーです。時に「二次災害」を生むことさえあります。
「謝ったということはあなたが悪いんだよね?」
こんな言葉を言われることも少なくありません。少なからず、このような「弱みにつけこむ人」はいます。
プライベートならまだしも、仕事の場であれば、自分だけでは対処できないような事態に発展する可能性もあります。
謝罪による失敗例
そんな僕も、求人広告の新人営業マンだった時に、このような「痛い思い」をしたことがあります。

2日前にWEBから2件応募があったようですが、対応状況はいかがですか?










は、はい?えーっと、データ上は、2日前にWEBから2件応募があったことになっているんですが、応募の通知メールが届いていないということでしょうか?










今のところ、システムの不具合の報告もないので、システム上の不具合という可能性も低いかと思うのですが…大変失礼ですが、最近、携帯の機種変更や、設定変更などは…










あ、いえ、そのようなことは決してなく…










その…










大変申し訳ございませんでした…。今一度システムの不具合がないかどうか調査しますので…
(その後、システムの不具合がないことを確認し、再度電話)










〇〇様、再度確認したところ、大変申し上げにくいのですが、システム上の不具合も報告されておらず…同じような事象もないようでして…










…










ご要望にお応えしたいところなのですが…
その後の対応
- 社長・渉外担当へのホウレンソウ
- 僕1人で深夜に事実確認に行く(電話に出てくれないため、アポなし)
- 門前払い
- くじけずに再度訪問
- 怒鳴られながら携帯を見せてもらう
- 迷惑メールフォルダに応募通知メールを発見
- 「迷惑メールフォルダを勝手に見るな!訴えるからな!」と、胸ぐらを掴まれながらマジギレされる
- 店から追い出される
- 途方に暮れる
- 30分後、顧客から謝罪の電話
…という、なかなか壮絶な二次災害でした。なぜか、最終的に携帯メーカーにクレームを入れると言ってましたが、どうなったことやら…(苦笑)
謝罪よりも先にしなければいけないのは「事実確認」
この経験からいくつか学んだことがあります。まずは、「謝罪よりも事実確認が重要」だということ。
- なぜ、このようなことが起こったのか
- 原因は何なのか
ということを、早急に明確にしなければいけません。何も考えずに謝ることで、事態が悪化することもあります。
謝罪ではなくお礼を言う
とはいえ、「謝罪の言葉の一つもないのか?」と言ってくる顧客も中にはいるでしょう。初期対応はスピードが肝心なのに、事実確認に時間がかかることもあります。
そんな時は、被害者(仮)に謝罪するのではなく、「お礼を言う」のも効果的です。
具体例:「(注意事項などが長くて)全部読んでなかった」という苦情への対応
「貴重なご意見誠にありがとうございます。今後はもっと読みやすくなるように改善いたします。(以下、具体的な改善内容)」
顧客の立場になり、共感する
また、顧客の立場になり、怒りや憤りを「共感」するのも非常に効果的です。
ただ、使い方を間違えると、無責任と思われることもあるので、使うシーンは考えた方が良いです。
具体例:「バックレが多い!サクラ使ってるだろう!」という苦情への対応
「サクラは一切使っていませんが、バックレが多いと、掲載しているメディアや私への不信感も募ると思いますので、改めて掲載原稿を見直して、バックレが多くなる原因と解決方法を考えます」
(求人広告営業あるあるです)
「顧客を大事にしている」というアピールをする
最後に、これはちょっと使い方が難しいんですが、「あなたを大事にしているんです」と伝えるのも効果的です。
具体例:「責任者を連れてこい!」という怒りへの対応
「〇〇様、お気持ちは重々承知しておりますが、この案件は私が責任を持って担当しており、何より、〇〇様は私の大事なお客さまです。(以下、提案)」
(すぐに「責任者呼べ!」と言ってくる顧客には特に効果的です)
まとめ
ほとんどの人は「お客様は神様です」という意識が強いせいか、なんでもかんでもすぐに謝罪をしようとしますが、そのスタンスは損をするだけです。
「こっちは悪くないんだぜ!?」という気持ちが伝わってもいけませんが、伝え方・言い方一つで、顧客の心証はガラッと変わります。
伝え方に苦手意識がある方は、「伝え方が9割」という本がとても参考になると思うので、参考にしてみてはいかがでしょうか?