Amazonの大規模セールで買った本を読み終わったので、感想とレビューを書いてみます。
シンギュラリティは近い
この本を知っている方も多いのではないでしょうか?僕も存在だけは知っていました。
では、なぜ今まで読まなかったのか?その大きな理由がボリュームが多すぎることです。
人工知能風に「ボリュームオオスギル」と言いたくなる量です。
「シンギュラリティは近い」とは?
「シンギュラリティは近い」とは、人工知能の未来、人工知能が世界をどう変えていくのか、について考察している本です。
著者はレイ・カーツワイルという人物で、発明家・実業家・フューチャリスト…など、様々な肩書きがあります。
世界中の人を驚かせた、あのGoogleの人工知能の開発を指揮していることからも、そのすごさがわかるはずです。
ニューヨーク・クイーンズにユダヤ系移民の子として生まれる。1960年12歳の時、コンピュータに触れ、以後夢中となり、統計分析のプログラムや作曲を行うようになる。高校生の時テレビ番組『私の秘密』(”I’ve Got a Secret”)に登場し、コンピューターに作曲させた音楽を披露。同発明で、国際科学フェア第一位を受賞、ホワイトハウスでリンドン・ジョンソン大統領からウェスティングハウス・サイエンス・タレント・サーチ賞を受賞する。
マサチューセッツ工科大学在学中20歳のとき起業し、諸大学のデータベースを構築して大学選択のプログラムを作った(後に10万ドルで売却)。1974年カーツワイル・コンピューター・プロダクツ社を設立。以後数々の発明を世に送り出す。アメリカの「発明家の殿堂」に加えられた。
1982年、スティーヴィー・ワンダーの新スタジオに招待された際、スティーヴィーに「コンピューターを使って本物の生楽器の音を再現することは出来ないだろうか?」と尋ねられたのをきっかけに、同年、スティーヴィーをミュージックアドバイザーに迎えてカーツウェル・ミュージック・システム社を設立し、シンセサイザーの開発に乗り出す。1984年には初の製品であるKurzweil K250を世に送り出す。
1990年『The Age of Intelligent Machines』を公刊し米国出版社協会から「ベスト・コンピュータ・サイエンス・ブック」に選ばれた。このときインターネットの普及、チェスの試合でのコンピューターの勝利を、少しの時間的誤差で予測し、的中させる。その後『The Age of Spiritual Machines: When Computers Exceed Human Intelligence』で収穫加速の法則 をまとまった形で発表し物議を醸す。
2005年、『The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology』で技術的特異点・シンギュラリティーについての踏み込んだ記述を展開。「特異点は近い」と宣言し、世間一般に技術的特異点という概念が広まるきっかけを作った。
2012年にGoogleに入社。
2015年現在、GoogleでAI開発の総指揮をとり、大脳新皮質をコンピューターシミュレーションしようという「Neocortex Simulator」に取り組んでいる。完成した場合はクラウドに展開し人間の第二の脳として使用するつもりだという。
2016年、新著を出版予定。
引用:ウィキペディア
シンギュラリティ(技術的特異点)とは?
技術的特異点(ぎじゅつてきとくいてん、英語:Technological Singularity)、シンギュラリティ(Singularity)とは、人工知能が人間の能力を超えることで起こる出来事[1][2]とされ、テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうとする未来予測のこと[3]。未来研究においては、正確かつ信頼できる、人類の技術開発の歴史から推測され得る未来モデルの限界点と位置づけられている。
引用:ウィキペディア
読みやすいようにコンパクトになったエッセンス版
「本のボリュームが多すぎる」という理由だけで本を読まなかった僕を神様(NHK出版)は見捨てませんでした。
重要な部分だけをコンパクトにまとめたエッセンス版が発売されたんです。661ページが、なんと256ページに!半分以下!
「これは読むっきゃない!」と、ポチった次第です。
「必要な情報を省いたんじゃないの?」と思った方もいるでしょうが、それに関してはわかりません。原本を読んでないので。
ただ、出版社もバカじゃありません。本当に必要な情報なら省かないでしょう。
ちなみに、ボリュームが多かった原本(日本語版)と、コンパクトになったエッセンス版の出版社は、同じNHK出版です。ご安心ください。
エッセンス版をおすすめする理由
これを踏まえて、僕がエッセンス版をおすすめする主な理由は下記の3点。
- 重要な部分だけをまとめているので読みやすく、理解しやすい
- 価格が安い。原本(日本語版)の半分くらい
- 原本(日本語版)と同じ出版社が出版しているので、信頼できる
さらに、「補足」や「あとがき」があるので、その点もポイントですね。
感想・レビュー
肝心の内容ですが、今となっては「普通のこと」が多く書かれていた印象です。
いや、この本を読む前から、人工知能や未来のことを考えるのが好きだったので、「斬新な意見」として受け止める必要がなかったのかもしれません。
だから、嫌味ではありませんが、
- 人工知能に仕事は奪われない
- スマホはなくならない
- 自動運転は普及しない
- 不老不死はムリ
- 大企業に入社できれば安泰
みたいな考え方の人にとっては、かなり面白い本だと思います。この本で価値観ぶっ壊れますよ。
そして、この本を読んで一番衝撃的だったのが、2016年の僕が「普通」という感想を持ったこと。
だって、この原本、2005年に出版されてるんですよ?ということは、レイ・カーツワイルさんはそれよりもずっと前から未来が見えていたことになります。
テクノロジーについての本ですよ?変化が激しい業界ですよ?それなのに、まるで最近出版されたかのような内容です。
ロボット(人工知能)に仕事が奪われるのか?奪われないのか?自動運転が普及するのか?普及しないのか?
もはや、この議論自体がムダなことのように思えてしまいます。
「自動運転なんてムリだよw運転免許なくなるとか何言ってんの?w」なんて言ってる人は、本読んで価値観ぶっ壊してみてください。
特に面白かった部分
面白かった部分がたくさんあったのですが、特に面白かった部分を紹介してみます。
まず、この本の中で一番印象に残った部分。
わたしのモデルを見れば、パラダイムシフトが起こる率が10年ごとに2倍になっていることがわかる。こうして、20世紀の間、進歩率が徐々に高まり、今日の率にまでなるに至ったのだ。20世紀の100年間に達成されたことは、西暦2000年の進歩率に換算すると20年間で達成できることに相当する。この先、この西暦2000年の進歩率による20年分の進歩をたったの14年でなしとげ(2014年までに)、その次の20年分の進歩をほんの7年でやってのけることになる。別の言い方をすれば、21世紀では、100年分のテクノロジーの進歩を経験するのではなく、およそ2万年分の進歩をとげるのだ(これも今日の進歩率で計算している)。もしくは、20世紀で達成された分の1000倍の発展をとげるとも言える。
遠い未来は、現在から見えている未来だから遠く見えるのであって、もう少し先になれば、遠い未来ではなくなるということです。
つまり、「自動運転が当たり前の未来」も、現在だから「ムリだ」と思う人が多いわけです。
自動運転に関しての法律が変わったらどうですか?気軽に自動運転車に試乗できたらどうですか?手が届く価格で販売されたらどうですか?
その頃には間違いなく、「自動運転車は普及する」と思うはずです。そして、「免許がいらなくなる」とも思うはずです。
すると…
- 教習所がなくなる
- 事故がなくなる
- 自動車保険がなくなる
- ロードサイド店舗が繁盛する
- 道路標識がなくなる
このように考えが連鎖していきますよね。自分の中でパラダイムシフトが次々と起こるわけです。
また、後半の「わたし」と「限りなくわたしに近いわたし」についての考察も面白かったです。
記憶をアップロードし、ダウンロードできる世界。「わたし」を誰かにアップロードした時、その誰かは「わたし」なのか?
こんな感じの内容です。臓器や皮膚などの外見も人工的に再現でき、中身(記憶や感情)をそのままアップロードした誰かは「わたし」になるのでしょうか?
とても怖くてワクワクする未来ですね。「あなたはわたし?」「そうだよ」みたいな世界もいつかはくるんでしょうね。
なぜか、これを見た時、「私以外私じゃないの」を思い出しました。あれって、そういう歌なんでしょうか?
サビしか知らないんですが、「わたしに限りなく近いわたし」は「わたし」じゃないんだよ!という心の叫びのようです。
この本がネタなのかな?
まとめ
以上、感想とレビューでした。この本を読んで、知識よりも「知恵」や「考え方」を手に入れたような気がします。
「ありえない」ことは何一つない。それは現在の自分だから「ありえない」と思っているだけで、少し先の未来の自分は「ありえる」と思っているのかも。
今後はもう少し発想を飛躍しようと思います。
あなたも未来について考えてみませんか?