iPhone Xのお披露目の場で認証に失敗し、パスコード入力画面が表示されるという悲劇を招いた顔認証システム「Face ID」。
Appleによると、その真相は顔を登録していないスタッフがデモ機であるiPhone Xを扱った時にFace IDが反応してしまい、その結果「問題なくちゃんと失敗した」と説明しています。
これに関しては、「いやいや、ただの言い訳でしょ?」と、懐疑的な見方をしている方も多くいるはずですが、iPhone Xを実際に使ってみて、僕は「あ〜、なるほどなるほど」と納得(理解)しています。
今回は、そのFace IDの知られざる仕組みやメリット・デメリットなどを詳しくご紹介するので、ぜひ参考にしていただければと思います。
失敗は当たり前?Face IDは機械学習で認識力を高める
iPhone Xを実際の生活で使ってみるとわかりますが、顔認証に失敗してパスコードの入力を求められる回数は意外と多いです。
冷静に考えると、指紋認証も割とよく失敗するので、Face IDが残念な仕様かと言うとそんなこともないんですが、期待感が高かったこともあり残念に思っている方も多くいるはず。
しかし、これは今後改善される問題で、実は、Face IDの認証失敗は当たり前なんです。
なぜなら、Face IDは機械学習アルゴリズムによって所有者の認識力を高めていくから。
要は、誰が自分の所有者かというのをiPhone X(Face ID)自身が顔認証に失敗する度に学習して成長していくんです。
元々、極端に精度が低いわけでもないので、使い続けることでセキュリティ性能が高くなるのは安心ではないでしょうか。
マスク・サングラス・メーク(化粧)による変化も見破る
Face IDに対する最大の懸念点でもありますが、顔の変化にどれだけ対応できるのか疑問を抱いている方も多いと思います。
朝7時の顔と午後14時の顔も違いますし、濃さにもよりますがメークによってほとんど別人のように変化する方もいます。
また、
- マスク
- サングラス
- メガネ
- 髭(ひげ)
など、顔の一部を覆うものもあります。
「さすがに顔が隠れていたら顔認証は無理でしょ?」と普通は思うところですが、実は、こういった顔の変化にもFace IDは対応します。
メークを変えた、髭を生やした、といった外見の変化も Face ID は自動的に認識します。顔いっぱいに生えていた髭を剃ったなど、外見が大幅に変わった場合は、パスコードで本人確認をしてから顔のデータを更新します。帽子をかぶったり、スカーフを巻いたり、メガネをかけたり、コンタクトレンズをしたり、サングラスをかけたりしても、Face ID は機能するようになっています。さらに、屋内でも屋外でも、たとえ真っ暗な中でも使えます。
先ほどの理由から、Face IDがいかなる環境下でも所有者をすぐに判別するのは難しいかもしれませんが、その精度は失敗するたびに高くなります。
サングラスをかけた所有者を今日は認識してくれなかったとしても、明日にはサングラスをかけた所有者と認識してくれるかもしれません。
メークで別人のようになった所有者を今日は認識してくれなかったとしても、明日にはメークをした所有者と認識してくれるかもしれません。
その対応スピードは人によって違うかもしれませんが、あのAppleの最先端技術であるFace IDに、僕らはもう少し期待しても良いのかもしれません。
Face ID を実現したテクノロジーは、Apple がこれまでに開発した中でも一二を争う最先端のハードウェア/ソフトウェアと言えるでしょう。
「顔」だけでは認証されない
さて、Face IDの魅力が十分伝わったと思いますが、もう1つFace IDを好きになれる理由があります。
それは、「顔」だけでは認証されないことです。
Face ID は、出力紙や 2D のデジタル写真には映らない深度の情報に照らして認証します。なりすまし防止の先進のニューラルネットワークを使っているので、マスクやその他の技巧を使ったなりすましにも騙されません。さらに、Face ID には画面注視認識機能もあります。目が開いていて、意識してデバイスを見ているかを認識します。つまり、あなたの知らないうちに (寝ている間などに)、だれかが iPhone のロックを無断で解除することは困難です。
つまり、その顔の所有者がそこで実際にiPhone Xを操作していなければFace IDは機能しないということです。
気絶している人や眠っている人の目を無理やり開けても、顔写真を使っても、パスコードを知らない所有者以外にiPhoneは操作できません。
毎度のことながら、なんとかこの技術力に対抗しようとする方がいて、第三者が認証に成功したケースもあるようですが、ほとんどの方にとっては関係ない話ですのでお気になさらずに。
所有者以外は極力使うべきではない?
iPhoneユーザーの中には、恋人や家族でも操作できるようにパスコードを教えている方もいると思いますが、Face IDの性質を考えると、極力避けた方が良いかもしれません。
というのも、Face IDは所有者以外登録することはできず、それ以外の人が使う場合は「Face IDの認証に失敗してからパスコードを入力」してロック解除をすることになるからです。
しかし、先述の通り、Face IDは失敗してパスコードを入力するタイミングで顔のデータを更新するので、認証システムに悪影響を及ぼす可能性があります。
ですので、自分以外にも操作する人がいる場合は、Face IDをオフにするか、顔を貸してあげましょう:)
ちなみに、Face IDのデータは設定からリセットすることができるので、自分以外にiPhone Xを操作する人がいる場合は、リセットするのも良いかもしれません。
まとめ
Face IDにはその他にも、
- 暗い場所でも使える(夜に寝ながらスマホを操作できる)
- 認証作業によって目や肌を傷つけられる心配がない(赤外線の影響なし)
- 顔のデータは暗号化され、外部への送信・バックアップはされない(セキュリティ対策バッチリ)
など、いくつもの使うべき理由があります。
不便だからと機能をオフにするのではなく、Face IDを今から成長させてみてはいかがでしょうか?