事業用のクレジットカードや銀行口座がある法人とは違い、個人事業主(フリーランス)として活動する場合は、プライベートで使っているものを事業でも使うことが多いと思います。
家事按分(かじあんぶん)という仕組みもあるくらいで、これは特におかしな話ではなく、プライベートな収入と支出をそれぞれ「事業主借」と「事業主貸」にすればOKなんですが、この金額が大きいと何にどう影響するのか気になったことはありませんか?
「事業主借」と「事業主貸」の金額は確定申告書類に記載される
僕はクラウド会計ソフトのfreeeを使って仕訳しているんですが、完成した確定申告の書類に「事業主借」と「事業主貸」の金額が記載されているのを見て「え、これ大丈夫なの?」と思ってしまいました。
なぜなら、個人事業主の場合、収入・支出が事業とプライベートで別々になっていないので、
- メルカリの売上10万円(事業と関係なし)が銀行口座に振り込まれた
- 楽天市場で冷蔵庫(事業と関係なし)を購入し楽天カードで決済した
といった完全にプライベートな収入・支出も書類に記載されるからです。
事業とは関係ないのに…なぜ?
こう思ってしまいますよね。
事業主借・事業主貸の金額は大きくても問題ない
ということで、気になってfreeeのサポートに確認してみたんですが、事業主借も事業主貸も金額が大きいことに問題はありません。
それぞれの金額が所得に影響して税金が増える…なんてことが万が一あったらどうしようかと思っていたんですが、プライベートで収入と支出があったことを示すためだけの勘定科目のようです。
よく調べたらこんな記事もありました。
「事業主借」は、事業という単位の会計からみれば「借金」つまり「負債」です。反対に「事業主貸」は、「貸付金」つまり、「資産」です。決算においては、これらを相殺しましょう。相殺した結果、どちらか一方の残高が存在することになります。
この残高は、そのまま青色申告決算書の貸借対照表に計上したままで問題ありません。この「事業主借」も「事業主貸」も、事業の会計からみれば、貸借関係にすぎず「売上」でも「必要経費」でもありません。このため、確定申告書上で残高が存在していても、所得税の計算をする際の「所得金額」には影響しません。
難しい話にも聞こえますが、「賃借関係にすぎず〜」という表現からもわかるように気にするポイントではありません。
架空の取引を登録するのは問題ですが、プライベートでそういった収入・支出が実際にあったのであれば金額の有無に関わらず問題ありません。
割合が大きすぎると説明が必要になるケースも
では、事業主借と事業主貸の金額が大きいとまったく問題ないかというと、半分不正解です。
先述のように、お金の動きを示すための勘定科目であり、所得や税金にも影響しないので基本的には何も気にする必要がないのですが、事業の収入・支出に対して金額があまりにも大きいと、税務署や銀行(融資を受ける場合など)で説明が必要になる可能性があるからです。
例えば、事業所得が100万円なのに、プライベートな収入(事業主借)が900万円あったらおかしいですよね?
つまり、そういった「客観的に見て不自然な収入や支出」がなければ何も気にする必要はないですし、それが事実だとしても説明できれば良いだけの話です。
ビクビクする必要があるとすれば、やましい理由があって説明ができない場合だけです。
プライベートな収入・支出を登録しない方が問題
もしかすると、「そもそも完全なプライベートな収入や支出を登録しなければいいのでは?」と考える方がいるかもしれませんが、これは避けた方が無難です。
(freeeのサポートからもそう言われました)
なぜなら、事業とプライベートで銀行口座やクレジットカードを共有する場合、事業主借や事業主貸があるのは当然のことで、むしろ無い方が不自然だからです。
各口座の残高と実際の残高が合わずに、逆に不自然な帳簿になってしまうので、事実は事実として記録することをおすすめします。
まとめ
freeeのアプリでは「これは事業関係、これは完全プライベート」とサクサク仕訳していたので、完成した確定申告書類を見てびっくりしましたが、まったく問題ないことがわかって良かったです。
そもそも登録しない選択肢もあるかもしれませんが、後で「あれ経費にできたかも…!」なんてことにもなりかねないので、登録しておいた方が良いかもしれませんね。